Roger Bart in The Producers (2)

【2回目】1月12日(金)夜


本日は友人も一緒に見る日。席も日本で事前にとっておいた、C列6、8という、右側だけどまあまあ中よりのかなりいい席。マックスのデスクの真ん前なので、いろいろ楽しみにしていたら……なんとレオはアンダースタディのStacey Todd Holt。プレイビルにはさまった紙一枚で告知。ううー。ブロードウェイはこれが怖い。日本の芝居でこんなこと考えられないもんね。ロングランなんてないから当然だけど。

ロジャー・バート、新しい映画に入ってる、という噂があるので(まったく未確認の噂)、まさか明日の土曜も昼夜いなかったりする……?とかなり焦る。でもまあ、しかたがない。見られないはずだった昨日、友人のお陰でちゃんと見られたんだし、今日はアンダーくんのお陰で、レオばっかり見ないで他の部分を楽しもう!

そう、本当にそのお陰で、アンサンブルをたくさん見られてよかった!

大好きなリード・テナーのエリック・ガンハス。オープニングでClosing Nightの看板をつけるめがねの兄ちゃんや、Unhappyで右端の給水器によりかかって水を飲んでる兄ちゃん、オールド・レディ・ランドでは、奥の中央で毛糸の輪を腕に巻いてるおばあちゃん、ヒトラーのオーディションに来てるおっさん、刑務所で二番目にGatta sing sing!と唄う囚人などをやってるのがわかった。

もう一人大好きなピーター・マリノス。オリジナルのブライアン。今もブライアンで、オープニングでは最初に「マックス・ビアリストックはとんでもない!」、と歌い出す紳士で、その直後に町の人で、オールド・レディ・ランドでは上手の揺り椅子で刺繍をしていて、裁判では判事だった。

映画から知ったジム・ボーステルマンは、まず、盲目のバイオリニスト。King of Broadwayの最中、「オー・ビアーリー♪」と呼びかける歌を歌っているのにからだは客席の方を向いていて、お巡りさんが「こっちだよ」と向きを直してあげるのがおかしかった。このシーンの最後、ゴミバケツにすっぽりはまった彼が「ハァーッ!」と息をもらして引っ込むときは必ず笑いが起きていた。うん、楽しい! それからもちろん「特大の」スコット、オールド・レディ・ランドでは奥中央で編み物をしてるおばあちゃん、オーディションでは木彫りの坊やを歌わせてもらえないドナルド・ディンズモア、春の日のヒトラー冒頭、バイエルンの人々の後ろ中央……などなど。

あと、未確認なのだけど、オーケストラの指揮者、パトリックだったような気がするんだけど、そんなことあり得るのかしら? 映画でもレコーディング・ザ・プロデューサーズの中でも指揮者として映ってたパトリック。もしそうだったらサインもらいたかったなー。

トニーが昨日よりはよかった。昨日は体調でも悪かったのか、できとしてかなり悪かったみたい。いや、それでも友人は今日のトニーを見て「あの人、うーん……」と言ってましたけど。

アンダーのステイシーくんは……普通でした。友人が「あの人、ホントに普通の人だったね」と言ったのが印象的。レオが普通の人、という意味ではなく、ね。でも、アンダーってこういうことを求められるのかな、とも思いました。確実なギャグだけはかっちり押さえて、歌と踊りがうまくて。

でも、アンダーくんのレオに、ドラマはない。どんな人生を送ってきたのか、ママはどんな人だったのか、今、どんな生活をしているのか、夢に向かう気持ちはどのくらい大きいのか、落ち込むときはどこまで落ち込むのか、怒りはどこからわいてくるのか、さみしいのか、人恋しいのか、けっこう強いところもあるのか……なにもわからない。

っていうか、アンダーくんにそこまで目を向けさせ、負荷を背負わせた、主役・トニー・ダンザの存在感のなさが問題ですね……。

でも、それでもいいのかも。だってお客さんは笑っていたから。

新宿コマだからかもしれないけど。

友人は、ゲイの館で爆睡してました。「あそこ、たるいよねー」。うん、たるい。あそこがたるいと、この芝居、かなりまずいと思うんだけど、たるかったねー。トニーとリームスさんじゃ、舞台を背負いきれないのがわかる。でもね、もしかして、レオがロジャー・バートだと、あそこも面白いかもよ、と言ってみる。友人は首をひねっていた。「わたし、ビルさんが一番好き」と、これまた実にまっとうなご意見。この芝居自体はそこそこ気に入ってくれたようだ。

係員のお姉さんに「明日、ロジャー・バート、出ますかね? どうしても見たいんだけど」と聞いたら、すごく困った顔をして「バックステージには、今日は別の人、としか書いてないの。だから出るかどうかはなんとも……でも、わかるわ、あなたの気持ち、彼、すごく面白いものね」。

土曜の昼はチケットを取ってある。もし、それもアンダーだったら、夜は違う演目を見よう。そう言うと友人が「もし、明日の昼、ロジャーが出たら、わたしも夜見る。違う人で二度見てみたい」。おお、そうこなくちゃ!

明日はロジャー・バート、出てくれますように。そう祈って、二日目終了。