トニー・ダンザとロジャー・バート
12月19日。
トニー・ダンザのマックス・ビアリストック、ロジャー・バートのレオ・ブルームが、セント・ジェームズ・シアターの『プロデューサーズ』の舞台に立った。
実は、トニー・ダンザのキャスティングが発表されたとたん、あちこちのブログやらなんやらで
「トニー・ダンザ!? やめてくれ!」
「トニー・ダンザ!? 信じられない!」
「トニー・ダンザ!? 歌えるわけないじゃん!」
の嵐。いや、そんな生やさしい言葉じゃない。何もそこまで、とたじろぐような罵詈雑言の嵐。ほとんど人格否定の言葉まで。残酷だなあ。まあわたしも気に入らないドラマや舞台についてはコテンパンに言ってのけるけど、でも、見る前からここまでの悪口は言わないぞ。見てからならわかるけど。
トニー・ダンザはアメリカではとても有名な人らしい。主にテレビの人らしい。しかしブロードウェイの舞台にも何度か立っている。その評判は悪くない。でもミュージカルの経験はない。
来年、トニーとロジャーのコンビを見に行くので、はてさて実際の所はどうなんだろう、と気になって、昨日からこのカンパニーを見た人のレビューを探していた。そのうちの一つにこんなフレーズがあった。
He's not horrible.
この一言だけで、スーッと気持ちが楽になった。
まだまだ良くなる余地がある、というところも嬉しい。歌のレベルやミュージカルならではの間の取り方、そもそもマックスという役にあっているかどうか、イタリア人がユダヤ人を演じることに対するアメリカ人の皮膚感覚などは、まあしょうがない。でも、それらを補ってあまりある「スターさん」の起用であり、彼の名前でお客さんを呼べる、と信じたい。
投稿者による、ロジャー・バートの評価も嬉しい。緊張しているであろうトニー・ダンザをしっかり支え、ひっぱり、相手を活かし、自分も活きる、そんなレオを全身で楽しそうに演じてるんだろうなあ、と想像して、舞台を見に行くのが、さらにさらに楽しみになった。
もうひとつの観劇レビュー。
こちらでも、
He was neither a revelation nor a disaster.
よしよし! 今後、完全否定的なレビューも上がってくるかもしれないが、最初の二つがこれならば、そうひどい言葉はないだろう……たぶん。なお、こちらのレビューの白眉は、トニー・ダンザの写真を見た人なら誰でも心配したであろう、レオがマックスを「デブ!」と罵る部分の変更。読んだだけで爆笑。
また、このレビューによれば、盟友が6月に見て大ウケした「スヌーピー吠え」が出た模様。相当テンション高く頑張ってるのだろう。嬉しいけど、頑張りすぎて倒れないでください。
それにしても「初日レビュー、まだー?チンチン」状態ではこんなことを言われていた。洋の東西を問わず、何かしら叩くものがほしいのかなあ。