「ようこそ、ホステルへ」


ファイナルポスター、と言われるものがあがってきました。lastに近い意味で、最新であって最後ではないかもしれません。どこかで誰かがフォトショップで作ったものかもしれないし、その初お目見えの場は、どんなゴシップもピンクのコメントとアートワーク付きで紹介しちゃう"Pink is the new Blog!"。ピンクのコラージュつきでの登場。ピンクさんのいたずらの中では、そんなにいじられてないほうです。その後、コラージュ入りでないものが登場したので、たぶん本物でしょう。

が、何がびっくりって、これがフェイクでなく本当のポスターだとしたら、


ロジャー・バートのポスター


なんですけど…。えええーっ!?


拷問されるきれいなおねーさんじゃなくて、拷問するおじさんのほうをフィーチャー!?


「あのデスパレートな妻たちジョージ・ウィリアムズが、もっと怖いことやりますよ!」ってのは、きれいなおねーさんのポスターと同じぐらい訴求力がある、のでしょうか?? ホラーファンはおねーさんとか拷問ガジェットが好きだろうと思うのですが、このポスター、一作目のHostelファン以外の客層を映画館に呼ぼうとしているのかな。新たにホラーに目覚める人募集、ってことなのかな。電動ドリルを手に、この衣装で(!)恭しくお客様をお出迎えする地獄の給仕長のようなポスター。いいのかなあ、おねーさんじゃなくて。ま、一回ぐらいいいか。これからもおねーさんのポスターは出てくるでしょうし(出てきませんでした。本当にファイナルポスターだった)。




※ここから下はキャスティングとストーリー展開についての、あくまで妄想ですが、はずれても当たっても、ピュアな気持ちでホステル2を見たい方には妨げになります。お読みにならないことをおすすめします。『デスパレートな妻たち』第2シーズン半ばまでの微妙なネタバレも含みますので、それが嫌な方もお読みにならないでください。








このキャスティングは明らかに確信的。ブリーを偏執的に愛するがゆえの嫉妬から怒りに火がつき、異常犯罪者にまでなったジョージだが、元々は市井で地道に生きる、人当たりのいい、出世ははなからあきらめた薬剤師の、どんなに望んでも40歳を過ぎて女性にまったく縁がない、誇れるものは何もない、道ばたの石ころのような人生。一方カールは弁護士という職業も、存在自体が罪、と言いたくなるほど女に不自由しないモテまくり体質も、鍛え上げたマッチョな体も、浅黒い肌と真っ白い歯も、かなり情けない元妻への未練ですら、すべてが勲章の、ギラギラ輝くステータスな人生。

この二人がホステル2の中では「退屈なアメリカ人の友人同士」というだけで、デスパファンにとっては面白い。ドラマ本編では一度も同じシーンで共演していないので、さらに興味深い。もし、この二人が早い時期にデスパの中で出会っていたら、ブリーと息子のアンドリューの問題に介入したとき、ブリーに親身になった男気あるカールは、ジョージという男をどう値踏みしただろうか。ブリーの夫で医師であるレックスのように「薬剤師ごときが」と切り捨てたか、それとも「決して自分の立場を脅かさない、いい年をして恋も知らない、格下の気の毒な男」として、憐憫から子分のようにかわいがり、手練手管の初歩の初歩でも教えてやっただろうか。「(ブリーの夫である)レックスの鼻をあかしてやれ」と、そんなことできるはずがないのを知っていて、軽く言ってしまいそうなのがカール・メイヤーという男だった。そして、誰も予想をしないことをやってしまうのがジョージ・ウィリアムズだった。

そういう関係を前提におくと、ロジャー・バートのスチュアート、リチャード・バージのトッドの関係が鮮やかに浮かび上がってくる。強気のトッドに引っ張られていくスチュアート。『デスパレートな妻たち』を知っている客層には、説明いらずの導入だ。

そして、そこから先の裏切りがイーライ・ロスの仕事。

ロジャー・バート演じるスチュアート。

相棒であるリチャード・バージのトッドがいろいろな意味で強気のエリート路線なのに対して“どこにでもいる目立たない標準的な男”を絵に描いたような、観客に感情移入させる役、なのはほぼ間違いないので、ロス監督がスチュアートのためらいから決意、昂揚…そしてその後の変化をどこまで細かく本と演出で表現できるのか、確認するのが楽しみです。気弱なスチュアートが、トッドに言われたとおり“生け贄”に罰を与える課程でどのように昂揚していくのか、たくましくなっていくのか、一度境界線を突破してしまうと、それがトッドさえコントロールできない狂気にまで変わっていくのか? そのとき、トッドとの関係はどうなるのか? さらにその先、狂気に耽溺するスチュアートに「頭を強打するほどの衝撃的真実」をつきつけたら、彼は混乱の極みで、どんな選択をするのか。そしてトッドはそれを許すのか、許さないのか。そして禁断の領域に踏み込んで快楽をむさぼった者が必ず受けなければいけない罰はどんな形で降ってくるのか。観客はそれを追体験させられるのか。

たとえ衝撃の結末が待っていても、心理的恐怖の頂点に持ってきてくれれば…。見届けます。





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