ブロードウェイ体験、思い出したことをちょこちょこ追加

  • マックスが「"Cash"と同じぐらい変わった名前の芝居」としてユージン・オニールの"The Iceman Cometh"に言及するが、客席の反応ゼロ。トニー・ダンザ、1999年の"The Iceman Cometh"で、ケヴィン・スペイシーと共演してるのに……。あくまで「テレビのトニー」しか興味ないし、知らないみたい。そういう人たちがわざわざ劇場に足を運んでくれるのだから、アテンドのパーセンテージは低くても、演劇界には十分貢献してると思うなあ、トニー・ダンザ。
  • 再三「新宿コマ(仮名)みたいな客層」という表現を使ったが、新宿コマのはとバスのお客さん、とまでは断じて言わない。芝居の途中に入ってきてお弁当食べて大声でしゃべって途中で出ていく、なんてお客さんではありません。生のお芝居には慣れていないから笑いも拍手も過剰反応するけど、映画やテレビドラマはちゃんと見てる、うぶなお客さん、という感じ。そこに身を置くのは、結構楽しい。「軽いけど荒れてない客席」って、新鮮だった。
  • "Keep It Gay"の山場で、レオが小道具のシャンパングラスを逆さにしてもこぼれないのが不思議……という小ネタで客席バカウケ、と書いたが、それを読んでくれたある友人に「そこでウケたのはロジャーの大ファンのnegiさんだけじゃないんですよね? つまり、ほとんどの観客が、ヴィレッジ・ピープルとか濃い人満載のあのシーンでレオを見ていた、ってことですよね」と言われた。……言われて初めて気がついた。あれだけの数の爆笑を取っていたということは「面白いからついついレオに目がいっちゃう」のは、わたしだけじゃなかったんだなあ。
  • 黄色いスクールバスがセント・ジェイムズの前の通りに止まって、ジャージっぽい格好のミドル・ティーンが、ポケットに手を突っ込んでぞろぞろ降りてきた。周囲に思い切りガンをとばしまくってつっぱっているのだが、一人として散らばらず、ペンギンの群れのように歩道にきちんと固まって立ってるのが、おかしくてかわいかった。いいなあ、ブロードウェイに遠足なんて。何を見たんだろう。オペラ座だったような気がする。
  • 帰りにバス・ターミナルで「ニューアーク行きのバスはどこから出ますか」と聞いたら「バルガルキンの前」と言われた。「……バルガルキン?」「イエス、バルガルキン」「……バルガルキン……」。友人と顔を見合わせてしばらく考えたがわからないので、とりあえず指さされた方向に行ってみた。"バーガーキング"だった。当然、「カースティング?……オー、キャスティング!」を思い出した。
  • セント・ジェイムズから一番近いホテルのツインに泊まった。冬期限定、破格のバーゲン価格。通常は、とてもじゃないが泊まれる値段ではない。「近いっていいよね。インターミッションの間に、ホテルに帰って戻ってこられるかも」と友人と笑ったのだが、忘れ物をして本当にそれをやってしまった。間に合ってしまった。施設は古いけれど、値段と立地を引き比べて、十分満足な宿だったが、唯一不満だったのは、無線LANが20階の部屋では入らなかったこと。ロビーに降りてノートパソコンを使った。それで一晩11ドルも取られると、うーん。よく調べたら、1日単位より、5日でいくらとかのパッケージにした方が安くついたかもしれない。
  • "センチュリー21"と、でっかいネームが入ったビルに"セール""バーゲン"のポスターがべたべた。「おー、不動産屋のバーゲンか。さすがはニューヨークだ」と思ったら、デパートだった。一番お上りさんなのは、自分だった。何をどう売るんだ、不動産のバーゲン。

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